春だから母が掃除機かける音聴きたくなって耳をすませる 渋滞のニュース聞きつつその距離に連なりを成す命を思う 今を詠う新鋭歌人・岡野大嗣の歌集。巻末に東直子による解説も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
命を見据えて現代を探る
見なければ、考えなければ、どうってことなく過ぎていくものばかりである。
しかし、書かずにはいられない。
東 直子(解説より)
<自選短歌五首>
もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい
ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる
河川敷が朝にまみれてその朝が電車の中の僕にまで来る
そうだとは知らずに乗った地下鉄が外へ出てゆく瞬間がすき
つよすぎる西日を浴びてポケットというポケットに鍵を探す手
【商品解説】